貞子の母親~社会に消された能力者~

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「御船千鶴子」という女性をご存じですか?

1900年代前半に世間を騒がせた「千里眼」を持つと噂された女性であり、実際に透視実験等を用いてその能力を解明しようと試みられた数少ない人物です。

今回は彼女「御船千鶴子」についてご紹介していきたいと思います。

御船千鶴子が透視に目覚めるまで

まず初めに、御船千鶴子という女性の生い立ちについて簡単にお話していきます。

彼女は1886年に熊本県で生まれましたが、生まれつき難聴があってか、非常に繊細な性格であり、物事を悲観的にとらえてしまう一面を持っていたそうです。

彼女の能力が明らかになり始めたのは、22歳のとき、当時の夫の財布からなくなった50円(現在の貨幣価値で言うと20万円ほど)が彼女の姑にあたる人物が使っていた仏壇の引き出しにある予知したことから始まります。

結果として彼女の予知通り50円玉はそこから出てきたのですが、姑は盗みの疑いを苦に自殺未遂を起こしてしまい家族関係が悪化し離婚することとなってしまいます、常人が持たざる能力というのは時に人を不幸にしてしまうものなのですね。

そして実家に戻った彼女でしたが、実家に戻ったのちも数々の透視を成功させることとなり、少しずつ、彼女の存在が世に知られていくことになります。

そして日露戦争に関する透視や、とある会社からの依頼で、炭鉱を発見するなどという、非常に大がかりな透視なども成功させ、その知名度は一気に世間に広まっていくこととなります。

その他変わったところでは無くした指輪の場所を言い当てる、人体を透視し、病人の病名を言い当てる、など様々な透視が行えたとされています。

透視の検証実験と世間の評価の変容

このように本物の透視能力者として注目が高まった千鶴子の存在は当時の一流大学の学者達の目にもとまることとなり、関心を抱いた彼らによってその能力を検証するための実験が行われることとなります。

実権が行われたのは1910年4月10日、学者たちの立会いの下、学者の用意した対象物の中身を透視するという実験が行われました。

そしてその実験の成功によって学者たちは千鶴子の能力を確信、心理学会で発表したことを新聞でも取り上げられ、大きな話題となりました。

そして千鶴子のもとには透視の依頼が殺到し「千里眼」ブームが巻き起こることとなりました。

このように世間でも大きな話題となった千鶴子でしたが、1910年9月15日に行われた透視実験にて評価が覆ることとなります。

その実験では物理学の権威であり、東京帝国大学の元総長でもある人物が立ち会いで、鉛管の中の文字の透視を行ったのですが、その際に千鶴子が透視した物は、本来実験に使う予定だったものではなく、実験の練習用に事前に千鶴子が受け取っていたものであることが発覚するのです。

それを受けて世間では千鶴子を偽りの透視能力者であるとする主張が一気に加速し、世間の風当たりは厳しいものとなりました。

世間の信頼を失った彼女は、透視が受け入れられない世間に絶望し、1911年1月18日に薬物による自殺を図り、24歳の若さで亡くなってしまいました。

「千里眼」を持つ少女の物語はここで幕を閉じることとなります。

彼女をモデルとした映画作品【リング】

このように劇的な人生を歩んだ彼女でしたが、とある世界的な人気を誇る映画にて彼女をモデルとした人物が登場するのをご存じでしょうか?

それがホラー映画【リング】に登場する貞子の母、山村志津子です。

志津子は作中で予知や透視の超能力持っている人物として描写されており、娘である貞子の能力は彼女から受け継いだものであると示唆されています。

そして作中にて、超能力の公開実験が行われるが失敗してしまい、マスコミに叩かれたことで発狂し、最後には火山の火口に身を投げて自殺をしてしまうのです。

まさに御船千鶴子と同様の人生ですね。

その点において貞子は、御船千鶴子のやりきれない思いが生み出した怪物と言えるのかもしれません。

100年前と変わらない人間の本質

世間で注目された結果不正を疑われ叩いてつぶされる。

御船千鶴子のこのお話、何か既視感がありませんか?

私が感じたのは2014年に世間に注目を浴びた「STAP細胞」を巡る一件と、この件が非常に似通った事件であるということ。

「STAP細胞」も今回同様、世間に注目を浴びた結果、徹底的に不正を疑われ、かなり無理のある形で再現実験を強いられることとなります。

そして実験に失敗した途端メディアからは全くの嘘であったと報じられ、最も注目を浴びていた一人の女性が、徹底的に世間の批判を浴びることとなりました。

御船千鶴子の一件とリンクする部分が非常に多いですよね。

「千里眼」も「STAP細胞」も存在の有無は分かりかねますが、結局100年たった今でも人の本質は変わらないということだけはよくわかります。

不審なものは徹底的に粗を探し、見つけ次第一致団結して叩く、悲しいですがこれが我々の本質なのでしょう。

これから何かを成し遂げたい方は、人間のその本質だけは理解しておいてください。

あなたが注目されればされるほど、あなたに対する世間の評価は厳しいものとなるかもしれません。

しかし違和感があるものを叩くのは人間の防衛本能であり、仕方がないことだと思うしかありません。

だからこそ、その本質とうまく向き合っていくことが今の時代には重要なスキルとなるわけですね。

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