今回は猿に関するとある実験のお話です。
これを読めば猿の知能が人間とそう変わらないことに愕然とするかもしれません。
心の準備はよろしいですか?
それではさっそく本題にいきましょう。
皆さんは「猿の惑星」という映画を見たことがありますか?
宇宙船に乗っていた人間たちが不慮の事故により着陸した惑星は、言葉を操り知能を持った猿が支配する世界。
そこでは人間が家畜の様に扱われる地獄のような光景が広がっており、主人公達はその惑星からの脱出を試みるが…
というお話です。
1968年の公開当時から猿と人間の立場逆転という衝撃的な設定で大きな話題を呼ぶ作品でした。
猿に人間と同じ知能はあるか

こんなことがもし起こったらと考えると怖くなりますが、これはあくまでフィクション。
あり得ないからこそ映画として楽しめるわけですね。
しかし近年の研究で猿の持つ知能や彼ら彼女らの学習能力は、
我々の想定をはるかに上回ることが分かってきました。
その証拠に猿は人間と同じように、貨幣を自らの社会ルールに組み込むことができるのです。
その事実は2005年に行われたとある実験によって明らかになりました。
猿への貨幣普及実験

では実際に行われた実験の内容を見ていきましょう。
2005年のアメリカ、イェール大学の経済学者であるキース・チェンと、心理学者のローリー・サントスは、イェールの病院で7匹のオマキザルに対して貨幣の価値を教える実験を行いました。
その内容は以下の通りです。

まず猿に硬貨に見立てたコインを与え、それと交換することでブドウやゼリーなどの好物を手に入れることができる環境を作る。
硬貨を渡せば好物がもらえるということを猿が学習したところで、
毎日12枚のコインを猿に与え、その管理を猿に委ねた。
※猿はいつでも好きなタイミングで好物とコインを交換できる。
同時に物によって交換に必要なコインの枚数を定めることで、猿たちに物価の概念を覚えさせる。
猿はコインをどう使うのか

ここまでの準備が整ったところで、二人の学者はいくつかの検証を試みました。
1つ目は価格操作

ある時から特定の食べ物の交換枚数を下げたのです。
具体的に言えばブドウ1つでコイン2枚だったところをコイン1枚で交換できるようにする、という具合に商品の物価を変えました。
するとそれに気づいた猿たちはこぞってブドウを交換するようになり、価値の変動を理解したのです。
2つ目はギャンブル

コインと好物を交換する際に、猿たちにコインの表裏を当てさせるか、そのまま交換するかを選ばせました。
表裏を当てる場合、
当たったら2倍の好物をもらえる
当たらなければ何も貰えない
こういった賭け事をさせたのです。
その結果猿達は好んでギャンブルを行うようになり、
彼らには人間と同じような消費心理があることが判明しました。
さらに驚くべきことに、一部では雌猿が自身との後尾を引き換えにコインを得ている様子も確認されました。
つまり猿による売春が行われていたのです。
猿の本質

貨幣を手に入れた猿達は、その使い方を学習しただけでなく、
物の値段に囚われ
ギャンブルを好み
金のために身体を売る
といった、あまりにも人間じみた行動を取りました。
普段の我々は猿を知能的に数段劣った取るに足らない動物の一匹だとみなしていますが、
その本質的なところでは、人間と相違ない部分も数多くあるのです。

そして本質が変らない以上、
猿も学習次第では人間に匹敵する、
あるいは人間を上回る知能を獲得する可能性を秘めている。
この実験によってこうした猿に対して懸念が生じることなったのでした。
最後に

さて今回は猿への貨幣普及実験についてお話しましたがどうでしたか?
猿は貨幣を使いこなし、人間と同じ本質を見せる。
人も猿も区分けは違えど所詮は同じ動物だからこそ、このような結果になったのでしょう。
我々は全ての動物の中で最も優れていると思いがちですが、それは我々の幻想であり、何かのきっかけで猿が人間を上回る可能性も充分にあるわけです。
誰もがあり得ないと考えているから猿の惑星の世界、それが現実になる日がいずれ訪れるかもしれませんね。
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