先日私のTwitterでも触れさせて頂きましたが、声優の鈴木達央さんに不倫疑惑が報じられ、その後彼は体調不良により活動休止を発表されましたね。
同時に彼の妻である歌手のLiSAさんもまた、心身の疲労により予定されていたライブの中止を発表し、夫婦ともに活動休止という異例の事態に発展しています。

この不倫報道が事実だとすれば、根本の原因は鈴木達央氏による不倫だと思いますが、2人が活動休止まで追い込まれた原因の一端には互いのファンが彼らに執拗な攻撃を加えたこともあるでしょう。
まさにネットリンチと呼ぶにふさわしい状況となっています。
とは言え、この報道の真偽が不明な以上、どちらがどう悪いということを論じるつもりはありません。
※そもそもそういうテーマのブログでもないですからね。

今回の記事はもう少し視野を広くして、なぜ近年ネットリンチが行われるようになったのかについて考えていきたいと思います。
・昨今のネットリンチに違和感がある人
・悪い事をしたら叩かれて当然だと思う人
こういった方は良かったら読んでみてください!
表現の自由の歪曲化

日本国憲法が掲げる基本的人権の1つに表現の自由というものがあります。
これは思想や発言は何にも縛られず、自由に行われるべきであるという趣旨の取り決めであり、これが保証されていることで我々は胸を張って自分の主張を社会に発信していけます。
しかし近年問題視されているのは、表現の自由がしばしば人の尊厳を傷付ける免罪符として用いられていること。
人には主張や意見を批判する自由はあれど、他人を誹謗中傷する自由はないのです。
にも関わらず昨今では、表現の自由が拡大解釈され誹謗中傷の免罪符として使われてしまっているのです。
法律の欠陥

ネットリンチが行われるようになった背景には、この問題が法律では解決出来ないということが挙げられます。
そしてこれには2つの意味があります。
1つ目は不祥事を起こした側が刑事罰に処されないという点。
不祥事を起こした人間が逮捕されるなど、明確な罰を受ける場合、ネットリンチが起きる可能性は低くなります。
ネットリンチは基本的に不倫や過去の不祥事といった、刑事罰に処されない法で裁けぬ悪を裁くために行われるのです。
やっている側に正義があるというのがこの問題の根深いところですね。

そして2つ目の意味は誹謗中傷を行った人間を法で捌くことが難しいという点です。
SNSに書かれた膨大な誹謗中傷に対して、訴訟を起こせるのは言われた本人やその肉親のみ。
それら全てに裁判を起こし、罪を認めされるというのはあまりにも非現実的なお話です。
そもそも自分に批判が集中している中で、大衆を相手取って訴訟を起こそうと思える人はそう多くないでしょう。
こういった理由もあり、誹謗中傷はほとんどの場合放置され、罪に問われることはないのです。
倫理的な問題であること

先程ネットリンチに発展するケースの多くは刑事事件に問われるようなものではなく、不貞行為などあくまで倫理的問題であるとお話しましたね。
実はこの倫理的問題であるという点にもネットリンチが活発化する要素があります。
倫理的問題は法律でどうこう言えるものではないため、その善悪は人それぞれの価値観で判断されます。
価値観で判断する以上、これに決着がつくはずもなく、
議論はヒートアップしていく一方です。

その結果、当初は当事者だけの問題だったはずが、次々と意見を持った野次馬を巻き込みいつの間にか火消しができないほどの大きな問題へと発展し、責任を持たず発せられる数々の言葉によって、当事者を精神的に追い込んでしまうのです。
芸能人との距離の変化

最後の理由はSNSを通じて芸能人との距離が急速に縮まったというのが大きいでしょう。
元々芸能人とは高嶺の花であり、コミュニケーションをとるにはファンレターなど、手間のかかる手段しか用意されていませんでした。
しかしSNSの台頭により、芸能人と気軽にコミュニケーションが用意されることとなりました。
ファン層のリアルな声を聞けるというのは芸能人側にも大きなメリットですので、うまく使えばSNSは双方に利益をもたらすツールとなり得ます。
しかし不祥事などバッシングを受ける要素が生まれてしまうと、一転して鳴りやまぬ罵声を浴びせる悪魔のツールと化してしまうのです。
SNSが破壊した芸能人と一般人の距離。
これがある意味で近年の芸能人に対するネットリンチを加速させている一番の要因なのかもしれません。
最後に

さて今回はネットリンチが起きる理由についてお話してみましたが、どうでしたか?
色々書きましたが、ネットリンチが起こるそもそもの問題は当人による不祥事。
そんなことをしなければ叩かれることもなかった、というのはまさしくその通りであり、
不祥事が世に出た以上、批判されるのは仕方のないことではあるでしょう。
しかしその人物が犯したことが刑事罰で裁かれないからと言って周りが誹謗中傷をするのはまた違う話です。
誹謗中傷は名誉棄損罪であり、刑事罰に処される恐れがある行為ですので、くれぐれもご注意ください。
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