「我思う、ゆえに我あり」
かのデカルトはこのような考えを提唱しました。
この世界がたとえ全て噓だったとしても、それを嘘だと疑っている自分の存在だけは否定することはできない。「自分は実在しているのか」と疑っている自分は確かに存在しているのだから、自分の存在意義を考えるという行為そのものこそが自分の存在意義の証明なのだ、と。
この考えに基づくのであれば、我々が生きる上で重要視している、この世界への貢献や人の役に立つことなどを自分の存在意義に結び付けることは、少し無意味なように思えてしまいます。
貢献していると思っている相手が本当に実在しているかは、実際は誰にも分からないのだから、あまり他人に目を向けすぎるより、自分の考えにしっかりと重きを置いた方が有意義ですからね。
にもかかわらず、他人の目ばかり気にしてしまい、他人の評価におびえて言いたいことややりたいことができないという方はすごく多いですよね。かく言う私もその一人です。
今回はそんな自分に自信が持てない人に向けて、ぶっ飛んだ思考実験とそこから考える最強の思考法について、お話させていただきます。
強いマインドを身につけたい方はぜひ最後まで読んでみてください。
水槽の脳

あなたは今日何をしましたか?
どんなご飯を食べて、だれと会って、どんなことを感じましたか?
そして・・・それは本当にあなたが体験したことですか?
水槽の脳は1982年に哲学者のヒラリー・パトナムによって唱えられた考え方で、
我々が感じ体験したと思っていることは、実はすべて脳に電気を流すことでそのように錯覚しているだけの現象であり、実際のあなたは脳みそだけで水槽の中に入れられている状態である。あなたが体験しているこの世界は実はすべて脳が思い込んでいるだけの幻覚なのだ。というものです。
まさかそんな、と思う方は多いでしょう。確かにばかばかしい話だと私も思います。
でもこの絶対に違うとも言い切れない、だって水槽の中で脳みそだけになっている我々にはもう、事実を確かめる術はないのですから。
世界5分前説

この世界は実は5分前にできたものなんだ、と言われたらどう思いますか?
そんなわけないだろう、と考える人がほとんどだと思います。
5分前の記憶は皆さんきっちりと持っていますもんね。
ですが、その記憶すら実は5分前に世界が作られるタイミングで合わせて植え付けられたものだとしたら?それどころか今まであなたが生きてきた記憶全てが5分前に作られたものだとしたら?
世界は5分前に作られたという考え方、すさまじくぶっ飛んだ話ではありますが、これもまた証明不能な怖い思考法の一つです。
価値観や理念なども実際は長い年月で培われたものではなく、ほんの一周の間に作られたものであるとするならば、それらに重きを置くのは、少しばかばかしくなってきてしまいますね。
哲学的ゾンビ

例えばあなたの親しい友人や、会社の同僚、恋人や家族。
大事な人たちが実はゾンビだったとしたら?
いやいやゾンビなら見た目でわかるでしょ!?となるでしょうが、それがこの話の肝。
哲学的ゾンビとは見かけ上は人と全く見わけがつきません。容姿も行動も全く普通の人と同じであるものの、「意識」のみが欠落している。
人間のような振る舞いはしているが、本当にそうふるまっているだけでありそこに自分の意志はない。しかし意志の有無など他人からは分かることではないので、相手がゾンビであるかも確かめる手段はない。
自分以外の存在が実は人間でないかもしれないというのは完全にホラーの世界ですが、逆にそう考えると、意志がない相手に気を遣う必要もあまりないので、気楽でよいかもしれないですね。
最強の思考法

このように、世の中には思考に対する、ぶっ飛んだ考え方が数多くありますが、それらを完全に否定する方法を私たちは持ち合わせていません。逆に言ってしまうと、人の思考や意識というのは、それほどに曖昧なのです。にもかかわらず、人は「合理的」「理性的」などと言った価値観ばかりにとらわれ、人の目ばかり気になって行動できなくなってしまう。
そこから脱却するためにこんな考え方はいかがでしょうか?
「あなたは5分前に脳みそだけ取り出されて水槽の中に入れられている、そしてゾンビだらけの仮想現実を体験させられている」
完全にやばいSFの世界ですが、事実がもしこれほど奇妙な状態だったとしても、仮想現実にいるあなたはそれに気づくことはできません。
そして、もしここまでぶっ飛んだ状態なら、正直もうあなたを縛るものは何もないですよね?
あなたの気にしている周りの目がそもそも、意図的に作られたもの、もしくは自分の妄想の中で作り出したものかもしれないわけですから。
あり得ない、と断じてしまえばそれまでですが、せっかくこうして生きているのだから、後悔ないように生きたいところ。
その一歩を踏み出し、自分自身がありたい自分であるために、この考え方が役に立てば筆者としてはうれしい限りです。
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