医学界のタブー~ローゼンハン実験~

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「スタンフォード監獄実験」「MKウルトラ」
実験関係で今まで2つの記事を上げさせて頂きましたが、今回はそれらをさらに上回る衝撃の実験「ローゼンハン実験」についてご紹介させていただきます。
ローゼンハン実験のテーマは「正気と狂気の区別を精神医は区別できているのか?」
つまり何らかの精神疾患を患っている方と正常な人との違いというのを病院は正確に診断できているのかどうか、というものです。
人の心理に興味がある方はぜひ最後まで読んでみてください!

第1部~疑似患者の診断実験~

ローゼンハン実験は前半部分と後半部分で大きく2つの実験に分かれているため、最初に前半部分の実験からご紹介させていただきます。
この実験は1973年心理学者のデービッド・ローゼンハンという人物が行った精神医学の診断が正しく行われているかを確かめる実験です。
内容としては今まで精神障害の診断を受けたことがない疑似患者が、幻聴が聞こえるという症状を精神病院に訴え診断を依頼した場合、病院はどのように判断するのか、というもの。
全疑似患者としてローゼンハンを含めて8名が実験に参加し、アメリカ国内の大小さまざまな病院にて診断を受けたところ、ほとんどの病院で精神障害があると診断され、入院許可が下りることとなりました。
入院したタイミングで疑似患者全員は実験の予定通り幻聴が聞こえなくなったと病院に伝えて、退院したい意志を示しました。
これですぐに病院から出られるだろうとローゼンハンは想定していたのですが、想定とは裏腹に簡単には回復したことを病院側に認めてもらうことができず、疑似患者たちは平均して19日間ほど、最長では50日以上入院することになってしまします。
またその間実験の参加者たちが実は精神障害ではなく、実験目的で入院しているということを見破った病院も一つもなかったのだとか。
むしろ入院している他の患者たちから何の精神疾患もないのではないかと疑われたケースは多いようで、中には何らかの実験や取材目的であるということまで見抜いた患者までいたそうです。
この結果を受けてローゼンハンは精神病院が非常にあいまいな基準で診断を行っていることを発表し、医学界に衝撃が走ることとなりました。

第2部~疑似患者の判別実験~

最初の実験結果の発表を受けて一部の精神病院は、「実験に使われた病院が誤っていただけである」「自分たちの病院であれば正確な結果を出せる」として、ローゼンハンに反発しローゼンハンが送り込む疑似患者を特定すると申し出ます。この提案に同意したローゼンハンは人数を明かさないものの3か月の間に医療機関に疑似患者を送り込み、送り込んだ数を病院側に当てさせるという実験を開始しました。
3か月が経過したのち病院側は期間中にやってきた193名の患者のうち、41名が疑似患者の疑いがあると結論付けました。
しかし結果としてローゼンハンは1人も疑似患者を送り込んでおらず、この41名は全て正しく診断を受けに来た患者であることが分かったのです。
この実験は「精神病院で正確な精神疾患の判断は不可能であること」、「精神病院内において決めつけや偏見によって患者の人間性を傷つけてしまう可能性があること」という結果を世間に知らしめることになりました。

この実験を受けて

実験結果は世間を大きく騒がせましたが、この実験自体疑似患者が病院にやってくるという病院側が想定していないことが行われている時点で病院側がそれを判別することは難しいのではないかとして、ローゼンハンを非難する声も少なくありませんでした。
しかしローゼンハンは「外傷が見える怪我や病気であれば、病名までしっかりと診断するのに、精神病のみ患者の自己申告のみをあてにして、すぐに入院させしっかりとした原因もわからないまま治療を施すというのが問題なのだ」と反論し、
患者がこちらの発言を認識できないことをいいことに、目の前で悪口を言ったり、笑いものにするようなことが日常的に病院内で行われていることを強く非難しました。
その反論を受けて病院側も精神病院の患者に対する配慮のなさを反省し、以降環境改善に努めていくこととなるのでした。

最後に

さて今回のお話、皆さんはどう感じましたか?
人間の心理に関してはまだまだ分かっていない部分も多く、医者といえど正確な診断を下すことが難しいのです。
人との違いも立派な個性ですし、精神疾患というものは人間が勝手に作り出しただけなのかもしれません。
しかし人と区別し、差を作りたがるのが人間の性。
改めて人というのは本当に業の深い生き物ですよね

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