マーケティング目線で見る!ホラー映画テーマの変遷

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さて今回はホラー映画についてです。

まだ時期的には早いですが、毎年夏になるとたくさんの新作ホラーが登場しますよね。

昨年は「犬鳴村」や「事故物件」などが話題となりました。

筆者的には「犬鳴村」はとても興味深い作品でした。

やはり人が立ち入ってはいけない禁断の場所というのは、なぜだかとても惹かれるものがありますよね?

しかし同時に最近のホラーを見ていて感じたのが、過去に流行した「リング」や「着信アリ」のようなキーアイテムがテーマになる作品が少なくなり、代わりに今回の「犬鳴村」や2021年公開予定の「樹海村」のように、特定の場所をキーワードにするような作品が増えてきたなという印象でした。

なぜこのように物を題材にするテーマが減り、場所を題材にするテーマが増えてきたのか、それには昨今の日本人の消費に対する意識変革と、潜在的な需要が隠れていると筆者は考えております。

そんなわけで今回はホラー映画の変遷をマーケティングの目線でとらえていこうと思います!

マーケティングを勉強中の方はよかったら参考にしてくださいね!

90年代以前のホラー作品

かなりざっくりとした区切りにしてしまいましたが、90年代以前の日本のホラー作品は一言で言うと「おどろおどろしい」作品が数多く作られていました。

「四谷怪談」、「番町皿屋敷」のような昔話を題材にしたものや、「妖怪大戦争」、「魔界転生」のような幽霊というよりは妖怪や悪魔などをテーマにしたものなど、今我々が思うホラー作品のイメージとはだいぶ毛色の違う作品が好まれていました。

当時はあくまで娯楽の一つとしてホラー映画が捉えられていたために、エンタメ色の強い作品が多かったわけですね。

90年代~2000年代初期のホラー映画

さてホラー映画を語るうえで欠かせないのがこの時代の作品。

「ジャパニーズホラー」として日本のホラー映画が海外でも高い評価を受けることになった数々の作品はこの時代に作られています。

代表的な作品は前述の通り「リング」や「着信アリ」などでしょうか。

この二つはいずれも海外でリメイクされるなど、今でも有名な作品ですよね。

この二つの作品には「身近に起こりうる恐怖」、「恐怖の象徴となる道具の存在」、「呪いの起源となる人物の存在」という3つの共通する特徴が存在し、これがジャパニーズホラーをイメージ付ける大きなきっかけになりました。特に「身近に起こりうる恐怖」が映画を通して感じられるようになったことで、エンタメとしての役割から、あえて恐怖心を感じ、精神を安定させるお化け屋敷のような役割をホラー映画が担うことになったのは大きな変化ではないでしょうか。

2010年以降のホラー映画

そして現代のホラー映画。「身近に感じる恐怖」はテイストとして残しつつも、「呪いのテープ」や「死の着信音」などの「恐怖を象徴するキーアイテム」は題材として扱われなくなってきました。その代わりに題材となることが増えたのが「犬鳴村」、「樹海村」など特定の地域や「事故物件」、「残穢」などの居住空間。つまり場所に関するテーマですね。

「物」から「場所」テーマの変化、そこにはどんな理由があるのでしょうか、その理由について触れていきたいと思います。

日本人の需要の変化

昨今の日本を見ていると、物に対しての需要は急速になくなってきているように感じます。

例えばスーパーカーやブランド品、高級家電などは以前ほど騒がれなくなりましたし、それらを所持していることが成功者であると語られるケースは非常に少なくなりました。

代わりに今の幸福の象徴は、タワーマンションに代表されるような都心の一等地の高級住宅、つまり良い場所に住むことが幸福であると語られるようになりました。

こういったことからも人の関心の対象が「物」から「場所」へ変わっていったことが見て取れます。「身近に起こりうる恐怖」を残しつつ、こうした変化に対応した結果、「場所」をテーマにするホラー映画が増えていったわけですね。

場所で心理を掌握する

さて今回はマーケティング視点で見るホラー映画の変遷ということで、人の需要の変化とそれに伴うホラー映画のテーマの変化を見ていきました。

今の日本において重要視されているのは「良い場所」であり、それこそが幸せの象徴となりつつあります。だからこそホラー映画の題材にされやすいわけですね。

そして幸せの象徴が「場所」であるということは、そこを豊かにするような商材やサービスに間違いなく商売チャンスがあるというわけです。

何か新しい商品やサービスを提供したいと考えている人は、その商品の素晴らしさを語る際に商品の魅力だけでなく、それらが自分の住む場所や暮らしをどのように豊かにするか、という語り口でお話してみてください。きっと興味を持つ人が増えるはずですから。

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