皆さんナチス・ドイツと聞いてどんなイメージを持ちますか?
多くの方はアドルフ・ヒトラー率いる残虐非道な独裁国家
などという印象を持っていると思います。
大日本帝国時代は同盟国として共に連合軍と戦った仲間ではあるものの、あまりいいイメージを持つ人は多くないですよね。
彼らは社会主義国家なので、資本主義側の我々が否定的な意見を持つのも無理はありません。

ではそんな悪いイメージがある中で、
一週間でナチス・ドイツの思想に染まってください
そう言われたら皆さんできると思いますか?
まぁ普通に考えたら不可能ですよね?
しかしそれを実現させた実験があるのです。
それもわずか5日で。
今回はそんなナチス・ドイツへの洗脳実験
サードウェイブ実験についてご紹介致します。
始まり

この実験はアメリカのとある高校で始まります。
世界史の教師をしていたロン・ジョーンズは生徒達にナチス・ドイツの事を教えていた際に、
独裁主義、つまりファシズムの思想がなぜドイツ人に受け入れられたのかを生徒に説明しました。
しかし生徒達はそれを理解することができません。
悩んだジョーンズはある試みを思いつきます。それは
クラスにナチスの疑似組織を作ること。

もちろんこれは授業の一貫、ジョーンズには生徒をファシズムに染めようという思惑などはありません。
ただ生徒の理解を深めるため、それだけの理由で実験は開始されました。
驚愕の5日間

実験は当初1日で終わる予定でしたが、生徒の要望により5日に渡って行われることになります。
これが実験の経過です。
1日目
ジョーンズは自らの発言に権威性を持たせるために以下のルールを追加しました。
・生徒は発言前にジョーンズの許可を取ること
・常に姿勢を正すこと
・指定されたもの以外の持ち物を持ち込まないこと
比較的緩いルールだったこともあり、生徒の反発はなく生徒側から実験の継続が望まれました。
2日目
・ヒトラーに似た敬礼をするというルールが追加されました。
生徒たちはグループ意識を強く持つようになり、さらなるルールの追加などを求めるようになりました。
3日目
新たにこの実験の参加希望者が現れ、人数が当初の30人から43名に増えました。
参加生徒には会員カードが配られ、カードを持たない人はクラスに入れないというルールが追加されました。
さらに参加希望者は増え続け、この日の終わりに参加者は200人を超えました。
4日目
行き過ぎたルールの強制などにより暴力事件や喧嘩が多発し、参加者たちはジョーンズがコントロールできないレベルで暴走を始めました。
ジョーンズは事態の収拾を図るため、
「明日この実験の本当のリーダーを発表する」と生徒たちに宣言します。
5日目
ジョーンズは、スクリーンを用意し
「君たちが信じたものの正体を見せよう」と発言したのち、ある映像を流します。
そこには当初生徒たちが理解不能だったはずのファシズムの象徴、アドルフ・ヒトラーが写っていました。

ファシズムのことをすっかり理解できるようになっていた生徒たちは驚愕し、ショックで泣き始める人もいたようです。
実験が明らかにしたこと

この実験によって、
・自由主義国家に生まれてその教育を受けてきた人であっても、簡単にファシズム思想に取り込まれること
・ファシズム思考に取り込まれると、温和な人間も暴力的思考になること
これらが同時に証明することとなりました。
この実験は悪意のない一人の教師によるものだったため大きな問題にはなりませんでしたが、
もし今後悪意ある人物が同じことをしたならば・・・
どうなるかは皆さん想像できるかと思います。
最後に

さて今回はサードウェイブ実験についてお話してみましたが、どうでしたか?
たった5日間で人間の思考や行動を変えてしまう。
ファシズムには人を操る恐ろしい能力があるのですね。
しかし我々は社会主義国家に生きる国民ですので、ファシズム思想など全くの無縁。
生きていてこんな思想に支配される心配はない。
そう思っていませんか?
・SNS等の情報ツールを用いたメディアによる洗脳
・不祥事を起こした人物への集団制裁
・オンラインサロンなど求心力の強い人物に大衆が群がる風潮
これらは本当に社会主義者としての行動なのでしょうか。
私たちは知らず知らずのうちに、
ファシズム思想に支配されているのかもしれません。
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