前回の記事でミルグラムをご紹介しましたね。
人は権力を持つと豹変し、残虐性が増したり非情な行いをするようになる。
その証明になったのがミルグラム実験でした。
しかしなぜ権力が人をそこまで変えてしまうのでしょうか。
実は、そこには権力が持つ恐ろしい力が関係していたのです。
今回は権力が人を豹変させる理由についてのお話です。
会社で出世欲がある人
リーダーや人を引っ張る位置に立ちたいと考えている人
該当する方は必見です!
欲求を叶えられるようになる

最初の理由は権力を持つと自分の願いや願望を叶えられるようになるためです。
誰かの下にいるうちは、その人の指示に従い、その人が望む成果をあげる行動を求められます。
自分でやりたいことや望むことがあったとしても、それが上に立つものが望まないことであれば、行う自由は自分にはありませんし、仮に行ったとしても誰からも評価はもらえません。
しかし自分が権力を持った場合、この状況は一変します。

自分より下のものは自分に忖度し、こちらの意図を汲んで行動するようになり、自分は要望、願望を叶えてもらう立場になるわけです。
これは大変魅力的ですが、この立場になると
どんな願いでも聞き入れてもらえるはずだ、と無茶な要求をするようになったり、
わがままになって人が離れてしまうことがあります。
こうして結果的にかつての自分を見失ってしまうわけですね。
報酬を求めるようになる

人は権力を持つと、BASと呼ばれる
報酬を得るために巡らせる思考回路の働きが活発になることが分かっています。
報酬を求める行動自体は全く悪いことではありません。しかし問題なのは、
BASが強くなるあまり自制心が無くなってしまうこと。
ニュースなどで、コストを抑えるために産地偽装や賞味期限を誤魔化した食材を使った飲食店が取り上げられることがありますが、
あれはまさに報酬を求めるあまり、自制心が無くなってしまう例です。

そのお店の店主や代表者は権力者になったばかりに
犯罪を犯してでも報酬を求めるという思考に取り憑かれ、このような悪事に手を染めてしまったわけですね。
自分の異常に気が付かなくなる

権力を持った人間は立場上強くなるため、自分に意見を述べる人間が少なくなります。
その結果、いつのまにか自分がおかしなことをしても気が付かなくなってしまうのです。
本来人間には主観的規範というものが備わっているため、
常識から逸脱した行動は取らないように自制ができます。
主観的規範とは「他人からどう見えるか」と考えることであり、
自分を客観視するために重要な視点です。

この視点がしっかりしている内は、他人から見ておかしい事は自制できるのですが、
自分が権力を持ち意見を述べてくる人がいなくなると、自分のやること全てが肯定されている気分になり、
主観的規範が曖昧になってしまうのです。
その結果自分がやることが全て正しいという歪んだ価値観が生まれ、異常な行動を取るようになってしまうのです。
仮想的有能感が生まれる

最後の理由は権力を持つと、自分が優秀であるように錯覚してしまい、仮想的有能感が生まれるというものです。
仮想的有能感とは
自分が何かを成し遂げることなく、
他人を貶すことで自分が有能になったと感じる人間の心理であり、簡単に言えば
人を悪く言うことでその人より上に立った気になれるという心理のことです。
権力を持った人間は、
権力者=優れた人間
という意識を持ちやすい傾向があり、自分が優秀なのだと錯覚してしまうことがあります。

実際に優秀な人間ならそれも構わないのですが、問題は本来能力がない人間がこの錯覚をした場合。
自分には何もないことを無意識に自覚しているため、人を貶すことで自分が優秀であるように思い込もうとするのです。
それがまさに仮想的有能感であり、
この感覚に支配された権力者は過剰に周りを馬鹿にしたり、下に見るようになり、人間として破綻していってしまうのです。
最後に

さて今回は権力が人を狂わせる理由をお話しましたがどうでしたか?
権力は力であり、力を持つことは自分の選択肢を広げる事になるため素晴らしいものです。
しかし力には責任が伴いますし、相応の代償やデメリットが存在します。
それらを知らずにいると後で大きな過ちに繋がることもあるので、権力を持つことの意味や注意点はしっかりと認識するようにしておきましょう!
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